Kodakの偵察機用航空レンズ、Aero Ektar 307mm/F2.5です。メルカリのバカシステムのため、何かマウントを指定する必要があるため「ニコンFマウント」となっていますが、当然Fマウントではありません。私の知る限り、300mm級の大判用レンズでもっとも大口径のレンズです。Aero Ektarは7インチ（178mm）/F2.5の数が多いですが、複数の焦点距離のバリエーションがあり、12インチはその中の一つです。恐らく、製造してから焦点距離を測定しているものと思われ、焦点距離は304mm〜308mm程度のバラツキがあります。35mmフィルムのカメラでサンニッパ、と言えば高価な大口径レンズの代名詞ですが、こちらは8x10をカバー、しかもF2.5とサンニッパよりさらに明るい開放F値です。その中でも、12インチ/F2.5は、世界中の大判大口径厨が様々な使い方を模索しているレンズです。35mm換算でどのくらいのF値になるかはわかりませんが、恐らくF0.5を切る値ではないかと思われます。元々は航空写真用カメラにビルトインされていた専用レンズのため、大判カメラで使えるような鏡胴はありません。これを前群・後群を取り出して、通常撮影用（？）に鏡胴を製作してリビルドしたものがこちらのレンズになります。前群、後群のレンズ部分は真鍮のハウジング、鏡胴部分はアルミで作られています。鏡胴から前群、後群を取り外すのは容易です。鏡胴内部に1周溝が切られており、絞りを取り付けようとしたものと思われます。Aero Ektarは有名なアトムレンズのため、後群が黄変しています。白黒ではコントラストが高まる効果がありますが、カラーではレトロな雰囲気になります。偵察機用航空レンズ、ということで比較的雑に扱われていたものが多い中で、本レンズは自分がこれまで見た中で最もコンディションがよいものです。前群、後群共に目立った傷や汚れも見られず、わずかにコーティングの傷みと思われるスポットがあるのみです。剛性の高い金属製テクニカル8x10カメラに、グラフレックス製の8x10用フォーカルプレーンシャッターを取り付けて、という構想で手に入れましたが、大判カメラの使用機会が減ったため手放します。ご興味ある大判大口径厨の方、いかがでしょうか。